特集 女性の便秘
Overview
WHITE Vol.5 No.1, 7-9, 2017
「便秘症は病気と考えてください」.内藤裕二先生が「特集3. 便秘を解消する」のなかで書かれたこの言葉が,まさに本特集に込められたメッセージである.
これまでは,医療従事者も,そして実際に便秘で悩んでいる人でさえも,「便秘は病気」という認識は希薄であった.ところが,近年の知見から,便秘の人では腸内環境に変化が生じ,そのことが様々な疾患の引き金となっている可能性が示唆されつつある.便秘は,食生活やストレスなどの要因が影響を及ぼす,一種の現代病とも言える.腸内環境に関しても新たな研究法が確立されてきており,現代のライフスタイルによってもたらされている便秘は,今後ますます注目されていくことになる.
便秘は女性に多く,特に20~60代では圧倒的に女性に多い.平成25年度国民生活基礎調査では,20~60代女性の便秘有訴者数は4~5%となっているが,現状では便秘の定義も明確には定まっていないこともあり,正確な患者数は把握できていない.あくまで診療上での感覚ではあるが,20~50代の女性の約半数は便秘に悩んでいる,あるいは悩んだ経験があるのではないかと感じている.しかし,女性の便秘に特化し,包括的に解説されたものは,これまであまりなかった.
そこで,本特集では頻度の高い「女性の便秘」をテーマに,1. 便秘をもたらす要因,2. 便秘がもたらす疾患,3. 便秘を解消する,4. 下剤の乱用,という4つの方向から,ご専門の先生方に解説いただいた.
※記事の内容は雑誌掲載時のものです。