「はじめに」2010年10月に第14回日本摂食障害学会学術集会で,「やせ礼賛社会への警鐘」というテーマでシンポジウムを開催した.この内容を紹介しながら現代日本女性のやせ願望について概説したい.
「1 美術作品に見る女性の理想体型の変化」女子美術大学芸術学部教授の前田基成氏によると,古代にはミロのヴィーナスのように均整の取れた体型が理想とされたが,食糧事情が悪い16~17世紀には富や権力の象徴としてでっぷり脂肪のついた豊かな肉付きのヴィーナスが描かれた.現代でもモーリタニア,ナウル,タヒチ,クウエートなどでは肥満が富の象徴とみなされて,女性の肥満率は高い.19世紀前半には食糧事情が改善したので,肥満は貧民階級との差別化にはならなくなり,20世紀になると生殖や母性を拒むかのような円筒型の裸婦像に変化した.
「1 美術作品に見る女性の理想体型の変化」女子美術大学芸術学部教授の前田基成氏によると,古代にはミロのヴィーナスのように均整の取れた体型が理想とされたが,食糧事情が悪い16~17世紀には富や権力の象徴としてでっぷり脂肪のついた豊かな肉付きのヴィーナスが描かれた.現代でもモーリタニア,ナウル,タヒチ,クウエートなどでは肥満が富の象徴とみなされて,女性の肥満率は高い.19世紀前半には食糧事情が改善したので,肥満は貧民階級との差別化にはならなくなり,20世紀になると生殖や母性を拒むかのような円筒型の裸婦像に変化した.