【特集 Rejuvenation(若返り)】
4 神経領域のRejuvenation
掲載誌
WHITE
Vol.2 No.2 30-35,
2014
著者名
武田英孝
記事体裁
抄録
疾患領域
神経疾患
/
アンチエイジング
/
再生医療
診療科目
脳神経外科
/
神経内科
/
老年科
媒体
WHITE
「はじめに」老化・寿命制御に関わるシグナル伝達系や制御因子は,さまざまな外的要因・内的要因の変化に対して生体を維持していくための適切な応答を,細胞レベルから器官レベルまで統合的に司っている.たとえば,外的要因の変化には,栄養状態の変化,日照時間の変化,侵襲性の物質や病原体,環境からのストレスやダメージなどが含まれる.内的要因としては,DNAに生じる突然変異やテロメアの短縮,蛋白質のミスフォールディングに始まり,インスリン抵抗性のような臓器間のコミュニケーションに関わるものまでが挙げられる.それぞれを環境要因と遺伝的要因と言い換えることもできる.これら種々の外的要因・内的要因は複雑な相互作用を介して生体システムに影響を与えるが,老化・寿命制御に関わるシグナル伝達系や制御因子は,このような影響に対して,基本的に「生体システムのロバストネス(robustness)」の制御に直結する役割を果たしている.言い換えれば,老化・寿命という現象が,シグナル伝達系や制御因子の変化を介した,生体の持つ「ロバストネス」の遷移および崩壊として捉えることができる.
※記事の内容は雑誌掲載時のものです。