糖尿病専門医に役立つ臨床トピックス
高齢の糖尿病患者さんの診療のポイント
Diabetes Horizons ―Practice and Progress― Vol.4 No.4, 36-41, 2015
超高齢化社会を迎えるわが国において,糖尿病患者に占める高齢者の割合は増加し続けている。高齢者では,認知機能低下に加え,腎機能低下や筋肉量低下によるサルコペニアなどの身体的な機能障害をきたす症例が多くみられる。また,高齢者は低血糖の発症頻度が高いことも知られており,一般成人とは違いより複雑な条件下での血糖コントロールが求められる。そこで,今回は東京都健康長寿医療センターの荒木厚先生に,高齢の糖尿病患者さんの診療ポイントについてお話を伺った。
「高齢者に対しては,低血糖と認知症や骨折・転倒などに配慮した診療が重要」
―高齢者ではどの程度の頻度で糖尿病が発症するのでしょうか。
糖尿病の患者数は加齢とともに増加します。厚生労働省が公表している平成25年国民健康・栄養調査の概要において糖尿病の実態調査では,70歳を超えると男性で24.4%,女性で17.6%が糖尿病が強く疑われる者に該当すると報告されています。実際に,診療をしている中でも高齢の糖尿病患者さんが増加していると感じます。
※記事の内容は雑誌掲載時のものです。