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実践!チーム医療と診療連携のススメ

秋田赤十字病院代謝内科における糖尿病透析予防サポートチームの活動と診療連携

後藤尚

Diabetes Horizons ―Practice and Progress― Vol.3 No.2, 26-30, 2014

秋田赤十字病院は県央部の中核病院として充実した救急医療をはじめ高度な医療の提供に努めている。同院代謝内科は通常外来のほか,近隣の8つの診療所と連携する「きずな外来」を設け,増加を続ける糖尿病患者の診療に対応してきた。2012年に糖尿病透析予防サポートチーム(diabetes mellitus support team:DMST)が発足してからは,チーム医療にますます力を入れ,院内外での活動にさらに精力的に取り組んでいる。今回は,DMSTを率いる代謝内科部長の後藤 尚先生にチーム医療の取り組みと診療連携に対するお考えについてお話を伺った

はじめに

―病院の特徴と糖尿病診療の体制を教えてください。
 当院は496床,29診療科を擁し,救命救急センターや総合周産期母子医療センター,地域がん診療連携拠点病院などの機能を有する地域の中核病院で,2014年で創立100周年を迎えます。秋田県内では比較的早い時期から糖尿病に特化した診療を開始しており,日本糖尿病学会認定教育施設でもあります。
 2012年度の診療報酬改定で糖尿病透析予防指導管理料が新設され,当院ではその年の7月に「糖尿病透析予防サポートチーム(DMST)」を発足しました。DMSTは,医師3名,薬剤師3名,看護師10名,管理栄養士3名,臨床検査技師2名,臨床心理士1名の計22名で構成されており,うち13名が日本糖尿病療養指導士(CDEJ)の有資格者です。チーム医療自体は以前から行っていましたが,DMSTという名前で院内でも認められる存在となったことで様々な活動を展開しやすくなったといえます。

―臨床心理士がメンバーに加わっているというのは珍しいと思いますが,どのような役割を果たされているのでしょうか。
 主に糖尿病教室に協力してもらっています。当院では2週間1クール,計10回のプログラム(図1)を用意しており多職種が指導を行っていますが,糖尿病教室というのは講義が中心となるためどうしても一方通行になってしまいがちです。

どれだけ教室の内容を充実させても,患者さんが糖尿病をご自身の問題と捉えて能動的に参加していただかなければ,糖尿病教室は意味のあるものにはなりません。そこで,1時間のうち40分を講義にあて,残り20分をその内容について患者さん同士でお話ししていただく時間にあてることにしました。患者さん同士のフリートーキングを有意義なものにするためにはスタッフがファシリテーター(進行役)の役割を果たさなければなりませんが,われわれはそのような教育を受けていません。それで院内の精神科医と臨床心理士に指導を仰いだのです。カウンセリングなど傾聴を診療の日常としている先生方は患者さんから話を引き出すのが本当に上手で,糖尿病診療に携わるスタッフは口をそろえて勉強になると言っています。特に合点がいったのは,「沈黙のなかに答えがある」ということです。われわれは糖尿病教室を行ううえで,患者さんから何かしら引き出したいと考えますし,1時間を終えて解散する前には何かしら区切りとなるまとめをしたいと思いがちです。しかし,たとえ患者さんの沈黙が続いたり,まとまりのない話に終始したりしても,その後に患者さん同士が雑談できるような余韻が残るのであればよいことだというお話でした。糖尿病教室での患者さんへの関わり方については精神科領域の先生方も興味深いようで,研究発表などもされており,双方に有意義な連携ができています。

きずな外来で2人主治医制を実現

―糖尿病診療連携の現状についてお聞かせいただけますか。
 秋田市内およびその周辺には糖尿病治療を専門とする病院があまりないため,当院には多くの糖尿病患者が集まります。そこで2010年7月より,通常外来に加え,糖尿病地域医療連携パスを基盤とした「きずな外来」を設けており,現在107名にパスを運用しています。連携する秋田市の8つの診療所との2人主治医制をとり,診療所では日常の管理を継続して行っていただき,当院へは年に1~2回程度の来院で医師による治療方針の見直し,患者指導,診療所ではできない検査などを行います。特に療養指導全般を行うCDEJ看護外来は30分以上の時間をかけて丁寧に患者さんと向き合っています。そして適宜,栄養指導や服薬指導,フットケアなどを提供しています。また,検査結果とテンプレートに記載された内容をまとめたものを連携先の診療所の医師に郵送するかたちで情報の共有を図っています。
 当院のパスが全国各地で展開されているものと異なる点は,連携施設を8つの診療所に固定していることです。私のなかで糖尿病の治療は動脈硬化性疾患の予防として重要であるという思いが強くあり,共通の認識が確認できている循環器科の開業医の先生と連携を図ってきました。各診療所の先生方とは3ヵ月に1回のペースで連絡会を開催しており,同じ認識を共有する仲間という感覚で信頼感を持って連携できています。
 ただし,高齢社会に伴い高齢の糖尿病患者さんが増加するなかで,認知症や癌など患者さんの抱える問題は多様化してきています。今後は,循環器科の開業医のみならず,専門が他分野の開業医の先生方とも連携して,3人主治医制や4人主治医制をとっていく必要性があると感じています。

―DMSTが行っている糖尿病透析予防指導について教えてください。
 糖尿病腎症2~4期の患者さんを対象に医師,看護師,管理栄養士の指導を同日に行うもので(図2),現在175名に実施しています。

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