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糖尿病専門医に役立つ臨床トピックス

糖尿病専門医から血管外科医に聞きたいこと―糖尿病患者におけるPADの管理―

宮田哲郎門脇孝

Diabetes Horizons ―Practice and Progress― Vol.3 No.1, 44-50, 2014

近年の糖尿病患者数の増加に伴い,糖尿病専門医が足病変を診る機会も増えてきている。また糖尿病はPAD発症・増悪の危険因子として上位に位置づけられるため,PAD予防や早期発見は糖尿病専門医に課せられた新たな課題であると考えられる。今回は,PADをはじめ,様々な足病変の診療に携わってこられた宮田哲郎先生に「糖尿病患者におけるPADの管理」をテーマにお話しを伺った。

【語り手】宮田 哲郎 先生
Tetsuro Miyata
山王メディカルセンター血管病センター
国際医療福祉大学臨床医学研究センター 教授

【聞き手】門脇 孝 先生
Takashi Kadowaki
東京大学大学院医学系研究科糖尿病・代謝内科 教授

PADの問題点と糖尿病との関係

門脇 糖尿病専門医の間では,末梢動脈疾患(PAD)予防の重要性は認識されつつあると思いますが,以前使われていた閉塞性動脈硬化症(ASO)という呼称との違いは十分に理解されていないかもしれません。まずPADの定義について教えていただけますでしょうか。
宮田 欧米では以前からPAD=ASOとして用いられてきましたが,日本ではPADは膠原病やバージャー病なども含めた広い意味で,ASOは動脈硬化を基盤とした下肢の閉塞性動脈硬化症という限定された意味で用いられてきました。しかし近年では,日本でもPAD=ASOとして同義語で使われることが多くなっています。脳血管疾患(CVD),冠動脈疾患(CAD)と並列で議論するための言葉としてPADが普及してきたのだと思います。
 PADには,①下肢の痛みのためQOLが低下する,②生命予後が大変悪い,③そして患者数が増加しているという大きく3つの問題があります。糖尿病との関連は非常に強く,症候性PADの危険因子に関する検討では,HbA1c値の増加とともにPAD罹病率が増加する,あるいは非糖尿病者と比べて糖尿病患者では明らかにPAD罹患率が高い,また糖尿病患者の中でも血糖コントロール不良例ではPAD罹病率が高いなど,糖尿病がPADの大きな危険因子であることは間違いなく,また重症化の危険因子としても糖尿病は大きな要素となっています。
門脇 糖尿病の危険因子としても性差,喫煙,高血圧,脂質異常症などが挙げられますが,PADの危険因子についてはいかがでしょうか。
宮田 PADに関する診療ガイドラインで挙げられているPADの独立した危険因子としては,性差,年齢,糖尿病,喫煙,高血圧,脂質異常症,ホモシステイン,人種,C反応性蛋白(CRP),腎障害などがあります(図1)。

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