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病診・院内他科連携の実際

福岡県における糖尿病診療連携と山名眼科医院における糖尿病診療

山名泰生赤司朋之麻生宣則井口登與志岩瀬正典大部正代桶田俊光小林邦久杉本英克関口直孝角田稔中園徳斗士中村宇大布井清秀野見山崇藤本良士横溝由史吉成元孝

Diabetes Horizons ―Practice and Progress― Vol.2 No.1, 42-47, 2013

はじめに
 糖尿病による様々な合併症発症と進展を防ぐためには,糖尿病患者はもとより国民全体として糖尿病発症の予防と発症してからの治療に取り組んでいくことが大切である。内科医も眼科医も網膜症が進行すると失明することを説明していたが,内科医と眼科医と患者とが一緒になって眼合併症対策に取り組むというスタンスではない。また糖尿病診療がチーム医療であり診療連携が重要であるという認識は古くからあるが,具体的な手順や活動は示されてはこなかった。糖尿病患者の著しい増加に伴い,近年各地で糖尿病診療連携の取り組みがなされているが,主導母体は地域の病院,県などの地方自治体,医師会やNPO法人など様々であり効率の良いものではないため,今後はこれらをまとめて1つの力にしていく必要がある。医学・治療の進歩は著しく,2010年に日本糖尿病学会学術総会では第2次対糖尿病戦略5ヵ年計画としてアクションプラン(DREAMS)1)が発表された。しかし,糖尿病対策にはまだ多くの課題が山積している 2)-5)。

糖尿病診療における問題点

 糖尿病診療は,医師あるいは医療従事者の個々の努力のみでは解決できない問題が多い。糖尿病診療連携の問題点として,糖尿病患者数は急増しているが専門医が少ないことが挙げられる。また,診療が循環器専門医や消化器専門医をはじめとして外科医などかかりつけ医を受診中に糖尿病が発見され,治療を開始する機会も多い。糖尿病治療の最近の進歩は著しく,検査も空腹時血糖とHbA1cのみでみていたが現在は良質の血糖コントロールを目指すようになり,治療方法も以前からは想像できないほど進歩してきている。一方で糖尿病は初期には自覚されることがない疾患であり,早期発見と早期治療,治療中断の防止を行い,患者自身が自分でコントロールしなければならないことから,糖尿病診療は患者と医療従事者が共に歩むという姿勢が必要とされる疾患である。

日本糖尿病協会福岡県支部を軸にした地域での糖尿病診療連携

 日本糖尿病協会(以下,日糖協)福岡県支部の現在の組織構成を図1に示した 6)。

1.かかりつけ医と糖尿病専門医の連携
 日糖協福岡県支部はこれまで分会を中心とした組織であったが,2005年に糖尿病診療の質を上げることを目的に開始された日糖協「登録医・療養指導医制度」に伴いかかりつけ医と専門医の共通の場として日糖協福岡県支部に登録医・療養指導医・専門医を包括した医師部会として2009年に組織化した。
 医師部会では,かかりつけ医が糖尿病について系統的に学べる「実地医家のための糖尿病セミナー」を2年間で8回,福岡県内で4つのブロック毎に行っている。2012年6月現在の福岡県の登録医数は108名で療養指導医と合わせると362名になっている。また,27名の登録医が療養指導医として登録された。

2.コメディカルとの診療連携とチーム医療
 北九州では全国に先駆けてL-CDE(地域糖尿病療養指導士)制度を立ち上げた。その後,県内の他ブロックでも同様にL-CDE制度が作られ,福岡県内4ブロックで認定試験を統一して行うようにしている。これまでL-CDEの会は各々のブロックで活動していたが,2011年には福岡県内4ブロックのL-CDEの会を統合した「福岡県糖尿病療養指導士会」を日糖協福岡県支部の中に設立した。
 福岡県糖尿病療養指導士会では,これまで通り各ブロック毎に市民糖尿病教室,糖尿病地域講演会,糖尿病街頭キャンペーン,ウォークラリー,勉強会や研究会に参加し活動をしている。

3.近隣でのかかりつけ医とコメディカルを含めた糖尿病勉強会
 福岡県遠賀郡・中間市と北九州市八幡西区で近隣のかかりつけ医とコメディカルが一緒に勉強できる「実地医家・医療スタッフのための糖尿病診療セミナー(実糖会)」を年3回行い,2008年~2012年10月までで13回開催してきた。

4.北九州西部地区での内科・眼科糖尿病診療連携
 内科医と眼科医が日常診療を通じて,糖尿病眼合併症ならびに糖尿病合併症の進展阻止を目指すため,内科・眼科の双方向の情報交換に努め患者のquality of life(QOL)の維持向上を図ることを目的に,北九州西部地区「響・内科眼科糖尿病診療連携の会(略称:響の会)」を2003年に設立し,内科医と眼科医の連携を実践してきた 6)。
 内科医と眼科医の連携は,診療連携の範囲,実際に糖尿病患者が受診している地域に限定した組織を立ち上げていく必要がある。そこで現在の会員の医療機関の所在地である福岡県北九州西部地区(八幡東区,八幡西区,戸畑区,若松区,中間市,遠賀郡,直方市等)の地域に設定し,緊密な診療連携を推進していくために参加意志が明確な眼科医と内科医に限定して会員制の会とした。会員数は開始時の2004年は眼科医16名,内科医18名であったが,2012年4月現在はそれぞれ23名と25名となり内科医と眼科医のほぼ同数が参加している。会は文字通りお互いの顔が見えるように座席はコの字型に配列し,総会では会員施設紹介を順番に行い,新入会員紹介,会員や患者アンケート調査結果報告,今後の調査予定と学会などでの発表予定報告を行っている。症例検討と特別講演には会員施設の先生方にもオブザーバーとして参加していただいている。特別講演は原則として内科医と眼科医を交互に選定している(表1)。

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