中咽頭癌ではヒトパピローマウイルス(HPV)の関与が知られており,近年,欧米のみならず本邦においてもHPV関連中咽頭癌は増加傾向にある。HPV関連中咽頭癌は従来の喫煙や飲酒に伴う頭頸部癌とは病理組織学的にも異なり,化学療法や放射線療法への反応性も良好で,頭頸部癌治療においてHPV因子は強力な予後因子であることが報告されている。近年,長期治療予後が見込まれるHPV関連中咽頭癌に対し,quality of life(QOL)を重視した低毒性治療が検討されてきている1)。実際は,HPV因子と喫煙,飲酒などの発癌因子は混在しており,また遺伝子レベルでも,p53,上皮成長因子受容体(EGFR),抗腫瘍免疫に関わる因子などが複雑にリンクしており不明な点も多い。HPV関連腫瘍の適切な選別を行い,最適な個別化治療を行うことが理想である。それらに対する知見を放射線療法を中心にまとめた。