中咽頭癌ではヒトパピローマウイルス(HPV)の関与が知られており,近年,欧米のみならず本邦においてもHPV関連中咽頭癌は増加傾向にある。HPV関連中咽頭癌は従来の喫煙や飲酒に伴う頭頸部癌とは病理組織学的にも異なり,化学療法や放射線療法への反応性も良好で,頭頸部癌治療においてHPV因子は強力な予後因子であることが報告されている。近年,長期治療予後が見込まれるHPV関連中咽頭癌に対し,quality of life(QOL)を重視した低毒性治療が検討されてきている1)。実際は,HPV因子と喫煙,飲酒などの発癌因子は混在しており,また遺伝子レベルでも,p53,上皮成長因子受容体(EGFR),抗腫瘍免疫に関わる因子などが複雑にリンクしており不明な点も多い。HPV関連腫瘍の適切な選別を行い,最適な個別化治療を行うことが理想である。それらに対する知見を放射線療法を中心にまとめた。
中咽頭癌の新しい治療戦略/頭頸部癌に対する治療完遂のコツとチーム医療の実際/再発転移性頭頸部扁平上皮癌の最新治療戦略
中咽頭癌の新しい治療戦略
2 HPV関連中咽頭癌の放射線療法
掲載誌
頭頸部癌FRONTIER
Vol.5 No.1 8-11,
2017
著者名
利安 隆史
記事体裁
抄録
疾患領域
癌
/
耳鼻科疾患
診療科目
耳鼻咽喉科
/
放射線科
/
腫瘍内科
媒体
頭頸部癌FRONTIER
Key Words
ヒトパピローマウイルス関連中咽頭癌,放射線療法,低毒性治療,シスプラチン,セツキシマブ
※記事の内容は雑誌掲載時のものです。