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Basic & Clinical Topics

[基礎②]日本人集団における2型糖尿病の危険性を高める新たなる28遺伝子領域の同定

鈴木顕

DIABETES UPDATE Vol.8 No.3, 18-19, 2019

本稿では近年我々が日本人集団において実施した,2型糖尿病の大規模ゲノムワイド関連解析1)により得られた知見を解説する。
2型糖尿病は,慢性的な高血糖状態の持続によって心筋梗塞・腎不全・がんなど,多数の疾患を合併する重大な疾患である。今日までゲノムワイド関連解析(genome-wide association study;GWAS)により,多くの2型糖尿病感受性領域が報告されているが,これらは主に欧米人集団の研究で同定されたものである。しかし,ウエスト周囲長や体格指数(body mass index;BMI)が同じ場合であっても,日本人は欧米人よりも2型糖尿病発症リスクが高い。この違いは,2つの民族集団における2型糖尿病の病因が異なる可能性を示唆している。本研究では日本人集団の4つの2型糖尿病GWASのメタアナリシス(2型糖尿病36,614例および対照群155,150例)を実施した(検体はバイオバンク・ジャパン,東北メディカル・メガバンク機構,いわて東北メディカル・メガバンク機構,多目的コホート研究,日本多施設共同コホート研究より提供された)。その結果,88の遺伝子領域がゲノムワイド有意水準(p<5×10⁻⁸)を超えて2型糖尿病と関連し,うち28領域は新規領域であった。さらに,段階的条件付き分析を行ったところ,27個のシグナルを追加で検出し,シグナルの総数は115となった。以下,結果について概説する。

※記事の内容は雑誌掲載時のものです。

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