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コンサルテーション

高度肥満を伴った2型糖尿病患者の症例報告(外科手術例)

齋木厚人

DIABETES UPDATE Vol.8 No.2, 30-35, 2019

BMI 35以上で定義される高度肥満は,糖尿病をはじめとした代謝性疾患や,それに起因する冠動脈疾患や脳血管障害,さらには睡眠時無呼吸症候群(sleep apnea syndrome;SAS),腎障害,心不全,整形外科的疾患,月経異常などを高率に合併し,放置すれば予後やQOLを著しく悪化させる。そのため「肥満に起因ないし関連し減量を要する健康障害」を伴う高度肥満は,日本肥満学会の『肥満症診療ガイドライン2016』において新たに「高度肥満症」と定義され,疾患として治療の対象であることが明確化された。その根本的かつもっとも有効な治療法は減量である。しかし,高度肥満症はいわば難治性疾患であり,患者の自主性に頼る内科治療では有効な成績が得られていない。一方,肥満外科治療は約30%の体重減少をもたらし,海外では年間80万件以上も行われている。肥満外科治療は代謝異常の改善を介して糖尿病を改善させることから,別名「Metabolic Surgery」とも呼ばれ,外科医が糖尿病治療に参加する時代になったといえる。我が国でも熱心な外科医の牽引によって,手術件数は少しずつ増加傾向にある。しかし,我が国の手術適応患者は30万人と推定されるなか,年間件数はいまだ450件程度(2017年)にとどまっている。厚生労働省龍野班(平成28年度)の調査では,糖尿病認定教育施設において手術適応患者が手術を実施(あるいは実施施設に紹介)した割合はわずか3.4%と報告されており1),内科サイドの肥満外科治療に対する認知度の低さがその一因であることは明らかである。端的にいえば,ほとんどの高度肥満症患者が手術適応,あるいはそのチャンスを有しているといえる。そのなかでも,どのような患者を積極的にコンサルテーションすべきか,すなわち,どのような患者がより肥満外科治療の恩恵を受けやすいのか,実例を示しながら解説する。

※記事の内容は雑誌掲載時のものです。

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