褐色脂肪組織(brown adipose tissue;BAT)はミトコンドリアにおけるuncoupling protein-1(Ucp1)の作用を介して,ミトコンドリア内膜におけるプロトンの濃度勾配をATP産生酵素の駆動と共役させずに解消し,熱としてエネルギーを消費する組織である1)。FDG-PET法を用いた検討により齧歯類やヒト新生児のみならずヒト成人においても機能的なBATが存在することが報告され2)-5),またBATの活性はBMIと負に相関し2),加齢により低下する6)ことからBATは肥満症,メタボリックシンドローム,肥満2型糖尿病の新規治療標的になり得ると期待されている。発生学的な観点からは,BATは白色脂肪組織(white adipose tissue;WAT)よりもむしろ骨格筋組織に近い可能性が指摘されている7)。その一方で,WATの一部も寒冷刺激や交感神経刺激に応じてベージュ脂肪組織と呼ばれるBATに近い機能をもつ組織に変化しうると報告されており8),BATの分化の全体像には未解明の部分が多く残されている。
Basic & Clinical Topics
[基礎②]転写因子NFIAは褐色脂肪細胞に特異的な遺伝子のエンハンサーにおいてPPARγと共局在することで遺伝子発現プログラムを制御する
掲載誌
DIABETES UPDATE
Vol.7 No.2 16-18,
2018
著者名
平池 勇雄
記事体裁
抄録
疾患領域
代謝・内分泌
/
糖尿病
診療科目
糖尿病・代謝・内分泌科
媒体
DIABETES UPDATE
※記事の内容は雑誌掲載時のものです。