SGLT・レッスン
糖尿病合併脂肪肝の臨床経過とSGLT2阻害薬への期待
DIABETES UPDATE Vol.7 No.1, 36-41, 2018
脂肪肝は大きくアルコール性と非アルコール性に分けられるが,本稿で取り上げるのは非アルコール性脂肪性肝疾患 (nonalcoholic fatty liver disease;NAFLD) である。NAFLDは,飲酒量として純アルコール換算で男性30g/日未満,女性20g/日未満と定義される。NAFLDは病態が進行することが稀な非アルコール性脂肪肝 (nonalcoholic fatty liver;NAFL) と,肝硬変や肝癌に進行することがある非アルコール性脂肪肝炎 (nonalcoholic steatohepatitis;NASH) からなり,NASHはNAFLD全体の1~2割とされる。NASHの発症には糖尿病を含む生活習慣病や酸化ストレス,加齢・ホルモン欠乏,ヒトの遺伝子多型,薬剤,腸内細菌などの様々な要因が関わっているとされる1)。
肥満の多い米国において,肝癌に対する肝移植待機症例の背景肝疾患としては,C型肝炎に次いでNASHが2番目に位置しているが,2020年にはNASHが中心的な疾患になると予測されている2)3)。本邦においても,肝癌の死因としてC型肝炎の割合が減少するなかで,非B非C型肝炎が増加しており4),NAFLDから肝癌への進行抑制が重要な課題となってきている。
NAFLDはメタボリックシンドロームを合併することが多く,中でも2型糖尿病は大きなウェイトを占めている。本稿では,近年増加傾向にある2型糖尿病合併NAFLDに着目して,生命予後改善を目指した治療における試みを中心に解説する。
「KEY WORDS」SGLT2阻害薬,2型糖尿病,肝線維化,肝癌,マイクロRNA
※記事の内容は雑誌掲載時のものです。