SGLT・レッスン
腎アウトカムを考慮した糖尿病診療におけるSGLT2阻害薬の位置づけ
DIABETES UPDATE Vol.6 No.3, 38-42, 2017
2014年に本邦でも臨床において使用可能になったナトリウム・グルコース共役輸送体2(sodium-glucose cotransporter 2;SGLT2)阻害薬は,腎臓の近位尿細管上皮細胞管腔側にあるSGLT2に作用し,原尿からのグルコース糖再吸収を阻害することで血糖を低下させる薬剤である。それまでの経口血糖降下薬とは異なり,インスリン分泌および感受性に影響を与えることなく血糖を低下させる点において画期的な薬剤であるが,その作用機序に特徴的な副作用(尿路・性器感染症,脱水,ケトアシドーシスなど)があることから使用が難しい薬剤との印象もあった。
しかしながら,EMPA-REG OUTCOME試験(2015年)においてSGLT2阻害薬の1つであるエンパグリフロジンが心血管イベントを有意に低下させることが報告され1),その腎アウトカムに関する解析(2016年)では腎症の進展を有意に抑制することが示されたことで2),SGLT2阻害薬の有する多面的な影響に注目が集まっている。本稿では,EMPAREG OUTCOME試験の腎アウトカムに関する結果を中心に,SGLT2阻害薬が腎臓に与える影響について現段階での知見を紹介し,今後の糖尿病診療におけるSGLT2阻害薬の位置づけについて考察する。
※記事の内容は雑誌掲載時のものです。