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Skill Up!コーチング~患者さんとの対話力を磨く~

第3回 同じキャンバスに向かう~コーチの聴き方~

大橋健

DIABETES UPDATE Vol.5 No.3, 58-60, 2016

医師-ああ……。今回もHbA1cが上がっていますね。どうもこのまま飲み薬だけで血糖を下げるのは難しいようです。前回もお話しましたが,やはりインスリンを始めましょう。
患者-おかしいなあ。今回はがんばったんですけどね……。甘いものも気を付けていたんです。でも,暑くなってきたからちょっと運動が足りなかったかな。来月はまたがんばりますから。
医師-でも,今回はHbA1cが9%を越えています。このままでは高血糖の症状も出てくるし,合併症も進んでしまいますよ。
患者-いや,どこも調子は悪くないです。今度はちゃんとやってきますから,もう一回待ってください。
医師-インスリンは思っているほど大変じゃないですよ。ほら(ペン型注射器や注射針を見せながら),これが実際の注射器ですけど,操作は簡単ですぐ覚えられるし,針もこんなに細いんです。小学生でもちゃんと打っています。
患者-え,ええ,それはわかってますけど……。でも,やっぱりインスリンは嫌なんです。がんばりますから,もう少し待って下さい。お願いします。
医師-うーん……。待って待ってと,もう2年経ちましたよ! 合併症が進んでからでは手遅れなんです。このまま放っておいたらどうなるか,よく御存じですよね?
患者-もちろん。でも,インスリンはちょっと……。
医者-わかりました。しかたないですね。じゃあ,次回HbA1cが下がっていなかったら,インスリン開始ということでいいですね?
患者-……。

※記事の内容は雑誌掲載時のものです。

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