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糖尿病入門

肥満を伴う糖尿病の診療―新しい肥満症診療ガイドライン2016より―

宮崎滋

DIABETES UPDATE Vol.5 No.3, 26-31, 2016

日本肥満学会は,2016年3月に「肥満症診療ガイドライン2016」を発行した。肥満症診療に一貫した基本的な考え方は,肥満の程度にこだわらず体重を減らすことによって医学上のメリットのある人を適切に選び出し,医学的に適切な治療・管理を行うというものである。今回の改訂における主な変更点は,病態や治療法が異なることから「肥満症」と「高度肥満症」とを区別して扱い,減量治療目標を肥満症では現体重の3%,高度肥満症では5~10%に設定したことである。肥満者数は増加し,肥満の程度も上昇しているため,肥満の対策,管理が各診療領域で必要となってきた。特に糖尿病は,肥満によって発症,あるいは悪化する代表的疾患の1つであり,その治療には,まず減量によるアプローチが重要である。しかし,ただ単体重が増加すれば糖尿病が発症するのではなく,内臓脂肪の蓄積が関与していることが判明してきた。肥満を伴う糖尿病では,内臓脂肪が過剰蓄積しており,その結果,血糖を上昇させるだけでなく,高血圧,脂質代謝異常,肝機能障害,高尿酸血症などの多彩な代謝異常を合併し,動脈硬化を生じやすく,心・脳血管疾患やがんの発症リスクを増加させる。治療は食事・運動療法により体重を減らすことで,血糖の低下に加え上記の代謝異常も改善する。肥満を伴う糖尿病の管理・治療にはまず減量を基本とし,薬物療法においては,体重を増加させない薬剤を選択する必要がある。

※記事の内容は雑誌掲載時のものです。

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