糖尿病は細小血管障害だけではなく,脳卒中や心筋梗塞などの大血管障害,つまり腎疾患と心疾患に共通するリスク因子となる疾患です。糖尿病治療では,合併症の発症・進展抑制も大きな治療目標の1つとなります。これらを踏まえて,糖尿病診療においては心腎連関を見据えた治療が求められます。様々な薬剤が登場した現在,薬物療法の選択肢は多くありますが,今回の座談会では,心腎連関の観点からどのような薬物療法が望ましいか,糖尿病,循環器,腎臓のエキスパートの先生方にお集まりいただき,最新の知見を踏まえてディスカッションしていただきました。
羽田:糖尿病治療における目標は,「健康な人と変わらない日常生活の質(QOL)の維持,健康な人と変わらない寿命の確保」とされております1)。そのためには細小血管合併症と大血管合併症の発生・進行を阻止しなくてはなりません。そこで本日は,2型糖尿病患者に対する糖尿病合併症を抑制するという観点から,どのような薬物療法が適切であるかディスカッションしていきたいと思います。それでは,まず古家先生に糖尿病性腎症に関してお話を伺いたいと思います。
羽田:糖尿病治療における目標は,「健康な人と変わらない日常生活の質(QOL)の維持,健康な人と変わらない寿命の確保」とされております1)。そのためには細小血管合併症と大血管合併症の発生・進行を阻止しなくてはなりません。そこで本日は,2型糖尿病患者に対する糖尿病合併症を抑制するという観点から,どのような薬物療法が適切であるかディスカッションしていきたいと思います。それでは,まず古家先生に糖尿病性腎症に関してお話を伺いたいと思います。