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コンサルテーション

かかりつけ医と糖尿病専門医との地域連携パスを用いた症例報告

林道夫

DIABETES UPDATE Vol.2 No.1, 32-38, 2013

はじめに
 NTT東日本関東病院は,東京都品川区に位置し,二次医療圏としては東京都区南部(品川区・大田区)に属する。両区の人口は併せて約100万人であり,当院は都市部の地域中核病院として機能している。同じく品川区の東芝病院とともに,2004年より糖尿病地域連携システムDM2(Diabetes Mellitus Disease Management)を立ち上げ,運用している。

日常診療の中でのDM2は,開業医を受診している糖尿病患者が,合併症検査,教育指導,インスリン導入,血糖管理,急性合併症など様々な理由で病院を受診する際に,専用の診療情報提供書1枚(図1)をファックスするだけで予約を取り,受診できる紹介システムとして機能している。

また,患者を開業医に返戻する際には,連携パスを活用し,逆紹介後も切れ目なく診療が継続するように配慮している。開業医の先生方には,IGT・早期の糖尿病診断フローチャート,経口糖尿病薬の処方フローチャート,紹介基準・手順を明示したフローチャート,などを配布して日常診療の参考にしていただき,地域全体の糖尿病診療のレベルアップを目指している。これらは,地域の専門医,非専門医が協議しながら作成しており,専門医が一方的に作成して非専門医を指導するという形はとっていない。これにより,糖尿病を専門としない開業医の先生にも実行可能なものとなっている。また,2007年からは,逆紹介した患者がかかりつけ医を受診した際の採血検査結果を病院にファックスしていただき,病院で一括して入力するWeb上のデータベースも運用している。

血糖コントロール悪化でご紹介頂いた糖尿病症例

 2011年5月18日,連携している医師から次のようなファックスが届いた。

 36歳男性。血糖コントロール・合併症検査目的に紹介。2011年6月8日受診予定。 

・身長 169 cm,体重 50 kg 既往歴なし,家族歴なし

・2009年12月15日初診,HbA1c 12.7%,食後7.5時間血糖値 452 mg/dL,体重減少(2009年9月:61 kg→12月:48 kg)。糖尿病の診断で内服開始。2010年11月頃まではHbA1c 7.9%まで減少,その後徐々に悪化し,2011年5月18日でHbA1c 11%,血糖値320 mg/dL。

・グルコバイ®300 mg,アクトス®30 mg,アマリール®3mg,2011年5月19日からジャヌビア®50 mg


 DM2では,かかりつけ医が患者を当院の糖尿病・内分泌内科の外来に紹介して受診させようとする際は,事前にファックスを送れば病院側は希望の日時に外来予約を入れるようになっている。かかりつけ医が患者を病院に紹介する際には様々な心理的障壁(?)がありがちだが,少しでもその障壁を小さくしようとの配慮である。

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