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その他

巻頭言 新興・再興感染症

宮﨑義継

感染症道場 Vol.3 No.3, 1, 2014

今号は結核を中心とした記事となっています. 結核はよく知られている感染症にもかかわらず, 現在でも世界中で多くの患者さんが発生し, 生命を脅かす重篤な感染症の一つであることが解っていながら, 治療に手こずる難しい疾病のままであり続けています. 「世界旅行と感染症」ではデング熱を取り上げていますが, デング熱については, 以前から危ぶまれていたように国内感染が再び起こっていることが今年の夏, 明らかになりました. また, アフリカでのエボラ出血熱も大きな公衆衛生学的な問題となり, 現在もなお収束の見通しがたっていません. 何十年も継続的に問題視され続けている感染症があり, また, 一見落ちついているように感じていたものが何らかのきっかけで突如として大問題になる感染症もあります. デング熱のわが国での発生をみると地球温暖化, およびそれに伴う気候の過激化もヒト感染症の新たな問題が増えるのを手伝っているようにみえます. このように感染症との闘いは次々に新しい, または再び息を吹き返した敵が対象に加わり, 終わることがありません. 私たち医療従事者は, 既成概念に囚われて新興・再興感染症を見逃すことのないように, 常に新しい変化に敏感かつ柔軟に, 十分な警戒心を持って対応して行く必要があります. 感染症治療においても, 謙虚で創造力のある医学者としての姿勢がますます必要とされる時代になっています. 本誌もその手助けとなるアップデートな企画を引き続き打ち出して行く所存です. ともに手を携え知恵を出し合い, 息長く, 諦めることなく感染症と戦っていきましょう.

※記事の内容は雑誌掲載時のものです。

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