世界旅行と感染症
鳥インフルエンザウイルス感染症(A/H7N9・A/H5N1) ―家禽からヒトに伝播する感染症―
掲載誌
感染症道場
Vol.3 No.2 38-40,
2014
著者名
谷口 清州
記事体裁
抄録
疾患領域
呼吸器
/
感染症
診療科目
呼吸器内科
/
手術・救急
媒体
感染症道場
「はじめに」2014年1月9日, カナダ政府より鳥インフルエンザウイルスA(H5N1)ウイルス感染症の輸入例が報告された1). アルバータ州在住の基礎疾患のない成人で, 2013年12月6日から12月27日まで北京に旅行で滞在していた. 都市部のみに滞在しており, これまでのところ滞在中に生きた家禽のマーケットに行ったりニワトリを扱ったことはなく, 気道症状のある人との接触もなかったと報告されている. 12月27日の帰国便のなかで全身倦怠, 胸痛, 発熱を自覚し, 12月28日に救急外来受診, 末梢血白血球数12,600/μL(好中球数11,100/μL, リンパ球800/μL), 胸部XPとCTにて右肺尖部の浸潤影が指摘され, 肺炎との診断にてレボフロキサシン(LVFX)を投与された. 2014年1月1日に悪化する胸痛, 息切れ, 頭痛にて再診, 胸部XPにて多発性の浸潤影と胸水があり入院, タゾバクタム・ピペラシリン(TAZ/PIPC)によって治療開始されたが, 徐々に悪化し, 1月2日にICUに入室し気管内挿管, 人工呼吸が開始された.
※記事の内容は雑誌掲載時のものです。