深在性真菌症の動向  わが国の病理剖検例における深在性真菌症の年次別発症頻度をみると,もともと一番多かったカンジダ症をアスペルギルス症が上回り,その傾向が今も続いている。しかしこれはあくまで剖検例のデータであり,米国のデータでみられるとおり,深在性真菌症罹患率はアスペルギルス症よりもカンジダ症が多いと考えるのが妥当である1)。米国の2001~2007年におけるカンジダ血症の原因菌で最も多いのはCandida albicansであるが,C. parapsilosisがそれに匹敵するほどの勢いで増加しており,non-albicans Candidaが75%とかなり増加してきている2)。わが国における2002年の全国サーベイランスでは4割程度がC. albicansであり,次いでC. parapsilosis,C. glabrata,C. tropicalisの順に多い3)。南米とアジアではC. tropicalisが多く比較的似たような傾向を示すが,欧州や米国ではC. glabrataが多く4),欧州ではC. kruseiも多い4)。