はじめに
オセルタミビルは,インフルエンザウイルスの表面に存在するノイラミニダーゼ(neuraminidase:NA)蛋白に結合し,その機能を阻害することによってウイルスの増殖を抑制する。オセルタミビル耐性ウイルスとは,オセルタミビルに対する感受性が低下し,抵抗性を獲得したウイルスである。オセルタミビルに対するウイルスの感受性は一般に,薬剤感受性試験により得られるIC50値,すなわちNA蛋白のもつ酵素活性を50%阻害するのに必要な薬剤濃度で示される。しかし,耐性と判定するためのIC50の基準値は世界的に統一されておらず,各研究者に判断が委ねられてきた。また,薬剤耐性菌との相違が分かりにくいことも臨床現場に混乱をもたらす一因となっている。
本稿ではインフルエンザウイルスの薬剤耐性について解説し,オセルタミビル耐性の存在について考えてみたい。
全文記事
Pros & Cons
オセルタミビル耐性は存在するか
掲載誌
感染症道場
Vol.2 No.1 38-41,
2013
著者名
高下 恵美
/
田代眞人
記事体裁
連載
/
全文記事
疾患領域
呼吸器
/
感染症
診療科目
一般内科
/
呼吸器内科
/
血液内科
/
耳鼻咽喉科
/
老年科
/
小児科
媒体
感染症道場
※記事の内容は雑誌掲載時のものです。