膵癌は早期発見が困難であり,現状では半数以上の患者が診断時切除不能あるいは切除可能境界(Borderline resectable; 以後BR)膵癌となっている1)。日本膵臓学会の膵癌診療ガイドライン2016年版2)では,切除不能膵癌の中で遠隔転移を認めない局所進行膵癌(StageⅣa)に対する一次治療法として,化学放射線療法または化学療法単独による治療が推奨されている(推奨の強さ:1,エビデンスレベル:B,合意率:100%)が,両治療法の優劣は明らかではない。本稿では,一次治療は化学療法+放射線療法(化学放射線療法)を選択する立場から,局所進行膵癌に対する化学放射線療法の現況,役割と今後の展開について述べる。