Answer
「はじめに」生体内には侵入した異物を排除するシステムがもともと備わっており,それが免疫反応である。がん免疫療法はこの免疫反応を利用してがんを排除しようとする方法で,これまではがん抗原の免疫原性を高めることで宿主側の免疫担当細胞の攻撃力を増強する方法(ワクチン療法)が様々ながん種で試されてきた。しかしながら,そのほとんどで有用性を示すことはできず,実臨床では腎がんやメラノーマに対するIL-2療法やIFN療法として応用されているに過ぎない1)2)。一方,生体内には免疫反応の暴走を防ぐシステム(免疫逃避機構)も備わっており,これが免疫チェックポイントと称され,近年,そのメカニズムが明らかとなった3)。実は,がん細胞にもこの免疫逃避機構が備わっており,がん細胞はこの免疫逃避機構を利用して自己の生存・増殖にとって都合の良い微小環境を構築している(図1)4)。