Case Study 症例検討
多発性骨髄腫の疼痛治療
Locomotive Pain Frontier Vol.5 No.2, 30-33, 2016
多発性骨髄腫は形質細胞ががん化して異常増殖し,骨や腎臓などの臓器,免疫系や血液系細胞の機能を障害することによってさまざまな症状を引き起こす疾患である。従来から病期分類として用いられてきたDurie&Salomon分類は腫瘍量を反映する分類であり,近年では国際骨髄腫ワーキンググループによって,臨床的予後の解析から,新しい国際病期分類が提唱されている。この分類に基づくと,stageⅠの患者の生命予後は約6年と比較的長期であるため,治療の目的は長期の生存期間中に症状を軽減して生活の質(quality of life;QOL)を向上させ,合併症併発を予防し,進行する症状に対して適宜最適な治療を行うことが求められる。特に,患者の日常生活動作(activity of daily living;ADL)が痛みで損なわれることがないように,疼痛治療は重要であり,脊椎病変に対して椎体形成術などの侵襲的治療や医療用麻薬による疼痛管理をすることも少なくない。
今回,上述の病気分類stageⅠの多発性骨髄腫患者に対する疼痛管理について報告する。
※記事の内容は雑誌掲載時のものです。