近年,一部のオピオイド鎮痛薬が非がん性の慢性疼痛(以降,慢性疼痛と略す)にも適応が拡大され,これまで以上にその処方が一般的となりつつある。慢性疼痛のオピオイド鎮痛薬処方で最も大切なことは,想定される有害事象の回避である。そして,オピオイド鎮痛薬の処方が検討される患者においてはすでにほかの薬が処方されていることも少なくなく,それらの薬との相互作用によって有害事象出現の危険性が高まることを処方医は注意すべきである1,2。本稿では,オピオイド鎮痛薬と併用薬の相互作用について述べる。
「薬物相互作用」薬物相互作用では薬物動態学的相互作用と薬力学的相互作用の両者を考慮しなければならない3
「1.薬物動態学的相互作用」薬物Aが薬物Bの吸収,分布,代謝,排泄に影響を与える結果,作用部位での薬物Bの濃度が変化し,その効果が増強または減弱するような場合である。例えば,抗真菌薬によってオピオイド鎮痛薬の代謝が阻害され,血中濃度が上昇するなどである。