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Case Study 症例検討

学際的治療が奏効したkinesiophobiaの診断と治療

河合隆志

Locomotive Pain Frontier Vol.4 No.1, 32-38, 2015

「はじめに」Kinesiophobiaは直訳すれば「運動(動作)恐怖症」であり,体を動かすと痛みが生じるのではないかという恐怖感が強く,痛む局所あるいは全身を動かそうとしない傾向をもつ1。これに伴いADLの低下や,ひいては廃用などの問題を生じることも多い。運動器の慢性痛全般に適用できるkinesiophobiaの評価尺度として,Tampa scale for kinesiophobia(TSK)2が世界的に用いられている。総得点は最低17点,最高68点であり,大きいほど程度が重い。Vlaeyenらは37点をカットオフとしている3。慢性腰痛に対して学際的なリハビリテーションを行うことによりTSKが改善したという報告もある4。また日本語版TSK(TSK-J)が,松平らにより作成されている5(表1)。表1の各項目からもわかるように,運動器慢性痛の患者は「運動することへの恐怖」を抱えていることが多い。

※記事の内容は雑誌掲載時のものです。

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