Special Article 総説
酸感受性イオンチャネル(ASICs)と痛み
掲載誌
Locomotive Pain Frontier
Vol.3 No.1 24-28,
2014
著者名
池内 昌彦
記事体裁
抄録
疾患領域
膠原病・リウマチ性疾患疫
/
神経疾患
/
骨・関節
診療科目
脳神経外科
/
整形外科
/
リウマチ科
/
神経内科
/
麻酔科
媒体
Locomotive Pain Frontier
酸感受性イオンチャネル(ASICs)は, 組織のpH低下によって直接開く陽イオンチャネルである. 炎症, 虚血, 感染症, 腫瘍など痛みを伴う病態においてpHは低下し, ASICsを介して侵害受容性疼痛が発生する. これまでに末梢でのASIC3や中枢でのASIC1aが痛みの発生機序において中心的役割を果たしていることが明らかになっており, 新規鎮痛薬の標的分子として期待されている. 「はじめに」 痛みは, 温度, pH, 機械的あるいは化学的刺激などの侵害刺激が, 感覚神経終末に存在する侵害受容器を活性化して発生する. 1990年代後半以後, 侵害刺激を電気的信号に変換する分子メカニズムが徐々に明らかになり, 新規鎮痛薬の標的分子として期待されている. 炎症, 虚血, 感染症, 悪性腫瘍などの病態において, 病変部位のpHは低下し組織は酸性化する. 細胞外プロトンによって直接開口する陽イオンチャネルとして酸感受性イオンチャネル(acid sensing ion channels; ASICs)が1997年同定された1.
※記事の内容は雑誌掲載時のものです。