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Orthopaedic Forum 整形外科領域における様々な話題

人工筋肉の開発と臨床応用における課題

千田益生堅山佳美馬﨑哲朗上原健敬

Locomotive Pain Frontier Vol.2 No.2, 50-52, 2013

市販のゴムチューブと繊維コードを用いて,安価で安全なマッキベン型ゴム人工筋を制作し,空気圧ゴム人工筋を用いた研究を行っている。立ち上がり動作支援・歩行支援システムでは,両側支柱付き長下肢装具に人工筋肉を装着し,また足底にセンサーを作用させ安全な動きを得るよう工夫している。上肢では,グローブ型の握力を支援するシステムや麻痺手に対してCPM的な可動域訓練目的のシステムを開発し,臨床応用を行っている。

アクチュエータと人工筋肉

 アクチュエータとは,モーターなど「動き」を作り出す装置の総称であり,社会の至るところで使われている1。高齢者や身体障害者の自立支援や介護支援のため,人間親和型ロボットへの関心が高まり,人間に優しくて安全なアクチュエータの開発が要求されている1-3。回転型のモーターなどとは区別して,主として伸縮で使うアクチュエータを人工筋肉とよぶ4。空気圧を使った人工筋肉として,McKibben(マッキベン)型人工筋肉がある。1961年,Joseph Mckibbenによって開発されたもので,ゴムチューブの周りをナイロン繊維で覆った形状で,圧縮空気を内部に加えることで収縮伸長する(図1)。

岡山大学の則次教授の研究室では,市販のゴムチューブと繊維コードを用いて容易にかつ安価でマッキベン型ゴム人工筋を制作でき,空気圧ゴム人工筋を用いた研究を行っている1-3,5。空気圧ゴム人工筋は動作だけでなく本体も柔軟で受動的柔軟性を備えており,人間親和型のアクチュエータとして期待されている。

人工筋肉の構造および種類

 人工筋肉の基本的な構造は,ゴムチューブの周りをナイロン繊維で覆った形状で,圧縮空気を内部に加えることで収縮伸長する3-5(図1)。

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