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Case Study 症例検討

難治性慢性腰痛症例に対する集学的治療の有効性―痛みリエゾン外来―

鉄永倫子西江宏行尾﨑敏文

Locomotive Pain Frontier Vol.2 No.2, 32-37, 2013

はじめに
 腰痛には,さまざまな因子が関与し特に社会的因子,心理的因子が大きく関与するといわれている1(図1)。

われわれは,腰痛を主訴に岡山大学病院脊椎外科外来を受診した患者全員に対しアンケート調査を行い,腰痛と抑うつ状態の関連について検討した結果,実に腰痛初診患者の77%で抑うつ傾向があり,うち中等度以上の抑うつを全体の39%で認めたことが判明した2(図2)。

抑うつ状態や体調の悪化,病気に対する過度の恐れが腰痛の悪循環となり遷延化につながる場合があり3,腰痛患者を診療するにあたっては抑うつ状態や病気に対する恐れがどの程度あるかも念頭に置くことが重要である4, 5
 2012年に発刊された『腰痛診療ガイドライン』で慢性腰痛患者における心理行動的アプローチは有用であることが明記されている。しかし,わが国において難治性慢性痛患者に対する集学的治療は数施設で始まったばかりでありほとんど成功例はない。
 2012年4月より岡山大学病院では痛みの集学的治療を目指した難治性慢性痛に対する多角的集学的外来(痛みリエゾン外来)を行っている。痛みリエゾン外来は,コンサルテーション型で,多職種で痛みの評価を行い,患者自身が痛みを治療しようとすることをサポートする外来である。痛みリエゾン外来では,3ヵ月以上持続する慢性痛があり,主治医や紹介医が集学的治療を必要と判断した患者を適応としている。そこで今回,当院で経験した痛みリエゾン外来での代表的症例を報告する。

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