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Person 診療・研究の現場より

仙台ペインクリニック

伊達久

Locomotive Pain Frontier Vol.1 No.1, 38-41, 2012

仙台駅から電車で10分,新たなベッドタウンとして栄えつつある小鶴新田駅から徒歩数分にある『仙台ペインクリニック』。11床の入院病床をもち,複数の常勤医がいる当クリニックは,開院以来,東北地方の痛み治療の“最後の砦”としての役割を果たすとともに,医師の研修の場としても機能してきた。当クリニックの開院の経緯,痛み治療の実際と今後の展望について,院長の伊達 久先生にお話をうかがった。
(2011年10月28日取材)

医師の研修機能を兼ね備えた痛み治療の専門施設として誕生

──クリニック開院の経緯を教えてください。
伊達
 研修医時代,臓器別診療が促進される中で,「腰が痛い」,「肩が痛い」など,痛みに悩んでいる患者さんの中には,当該診療科の通常の治療(例:腹痛なら消化器科など)で改善しなかったり,痛みの原因がわからなかったりして,自分の受け皿がどこなのかがはっきりせず,非常に困っている患者さんが少なからずおられることに気付きました。がんの痛みだけでなく,腰痛や頭痛,肩こりなど一般的な痛みも含め,痛みという症状に応じた医療を実践したいと,麻酔科医として“痛みの治療”を専門にすることにしました。
 しかし,当時は痛みの治療を専門に学べる施設は非常に限られていました。そのような中,私はどうにか1年間だけ,日本全国から多くの研修医を受け入れている関東逓信病院(現:NTT東日本関東病院)で痛みの治療の専門研修を受けたのですが,その後地方の病院に戻ってみると,折からの麻酔科医不足で,手術麻酔に追われ,とても痛みの治療に専念できる状況ではありませんでした。2005年7月に,医師が痛みの治療を専門的に学べる場であるとともに,私自身が理想とする“症状から入る医療”を実践できる場をめざして,『仙台ペインクリニック』を開院しました。
──11床の入院病床をもたれているのは全国的にみて珍しいですね。
伊達
 私が研修を受けた関東逓信病院はペインクリニックのメッカと呼ばれるところです。これまでさまざまな病院にかかっても治らなかった痛みをなんとかしたいと,わらをもすがる気持ちで来院された患者さんが,同院で治療を受け軽快していくのを数多くみてきました。そのような治療を当クリニックでも展開したいと考え,あらゆる痛みに対して幅広い治療を行えるように入院施設を整備したのです。当クリニックでは,椎間板ヘルニアに対する経皮的髄核摘出術や,難治性の腰痛に対する硬膜外内視鏡手術のほか,ペインクリニックの技術を活かして多汗症に対する胸腔鏡下交感神経切除術などの手術も行っています。
 また,開院当初より診察室を3つ設けています。これは患者さんのために複数の医師で診る体制を採りたかったこと,そして研修に来る医師を受け入れるためです。現在,常勤医5名,非常勤医6名がおり(写真1),非常勤医は主に東北各地の医療機関から,一定期間,あるいは1週間に2回といったペースで痛みの治療を学びにきている医師です。

これまでに当クリニックを巣立った医師らが地元に戻り,痛みの治療に携わっているという嬉しい話を聞いています。

ほとんどが慢性疼痛患者―多職種連携で多面的にアプローチ―

──患者さんはどのような方が来られているのですか。
伊達
 当クリニックは,東北地方の痛み治療の最後の砦として,どのような患者さんでも受け入れています。多くの患者さんは,当クリニックを受診されるまでにさまざまな病院にかかって,それでも痛みが十分にとれなかった方で,大学病院からの紹介の患者さんもいれば,口コミで来られた患者さんもいます。
 痛みの種類としては,急性疼痛やがん性疼痛もありますが,ほとんどが慢性疼痛です。受診患者さんの約7割が腰,膝,肩,首などの痛みを訴える運動器慢性疼痛の患者さんで,他には帯状疱疹や線維筋痛症,複合性局所疼痛症候群などで痛みのある患者さんや難治性頭痛の患者さんなどです。数は少ないものの,ペインクリニックの技術が有効な多汗症や顔面神経麻痺,突発性難聴などの患者さんもいらっしゃいます。
──診療体制はどのようになっているのでしょうか。
伊達
 当クリニックには医師(常勤5名,非常勤6名)のほかに,看護師12名,理学療法士5名,放射線技師2名,臨床心理士2名,事務員5名が所属しており,月2回の院内勉強会(写真2)で各職種間の連携をはかっています。

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