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Clinical Question Q&A形式で疑問を解決

Q2 運動器慢性疼痛の心理的要因を評価する方法はありますか?

笠原諭

Locomotive Pain Frontier Vol.1 No.1, 36-37, 2012

ミネソタ多面人格目録(MMPI)を用いることで,慢性疼痛の心理的要因を評価できます。

 慢性疼痛患者の心理的要因を評価するための検査法には,ミネソタ多面人格目録(MMPI),症状チェックリスト90-R,ミロン行動健康診断質問票,疾病行動質問票,ベックうつ病尺度などがあります。ここでは比較的一般的で,治療上の有用性の高いMMPIを取り上げて解説します。
 MMPIは世界的に広く用いられている人格検査であり,受験態度を査定する妥当性尺度(?,L,F,K)と,人格特徴を査定する臨床尺度(精神病理の略号:Hs,D,Hy,Pd,Mf,Pa,Pt,Sc,Ma,Si。現在では第1~0尺度と数字で呼ぶのが一般的です)から構成されています。MMPIを一言でいえば,被験者の人格の特徴を病気になぞらえたプロフィールで表現する人格検査といえます。ここでいう人格とは,外的環境に適応するための一貫した考え方と行動の傾向です。慢性疼痛患者に例えてみると,父親が不機嫌で不当に怒鳴られることの多い生活環境では,“自分が悪いのだ”と考え,“痛みを訴え”さらに“病院を転々とする”など一連の行動をとるのは人格の表現といえます。心理的要因が関与する慢性疼痛患者は,薬物療法だけで改善することは少なく,心理療法が必要となる場合が多いですが,一般的に慢性疼痛患者は,自身の内面を洞察する能力が低いために葛藤を身体症状に転換させるので,精神科治療に対して抵抗を示すことも少なくありません。そのため,以下の点でMMPIは有効と考えられます。

①身体症状が転換性の病態によって発生・修飾されているかを推測できる(転換V)。

②患者や家族に対して精神科治療の必要性を示す客観的な資料とできる。

③妥当性尺度のL,F,Kより,精神科治療への抵抗や,自分自身をどのように捉え,他者からはどのように見られようとしているかを推測できる。

④薬物療法において薬剤選択(抗うつ薬,気分安定薬,抗不安薬など)の参考になる。

⑤認知行動療法のプログラムを設定する際の指標となる(受動-攻撃のV)。

 次に典型的な2症例のMMPIプロフィールを示して解説します(図1,2)。

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