人口の高齢化に伴い心不全で入院する患者の高齢化も進行しており,今や心不全入院患者の3分の2が80歳以上の超高齢者で占められている。当院に心不全で入院した患者を80歳以上のOE群と80歳未満のUE群の2群に分けて,超高齢心不全患者の特徴を調べた。OE群では,女性,左室駆出率の保たれた心不全(HFpEF),心房細動の合併,再入院患者が多かった。腎機能は低値で,体重の増加は多くないものの,入院時の症状に関わらず利尿薬が必要となる患者が多かった。入院期間は長いが,自宅退院率は低かった。これらの結果から,OE群の超高齢心不全患者では体液貯留が少ない段階で心不全症状の増悪をきたしやすく,食塩摂取過剰から退院後再入院をくり返すことが考えられる。HFpEFの有効治療が明らかでない現状では,急性期には利尿効果と腎機能低下を見比べつつ利尿薬を使用し,水利尿薬の併用で早期の症状改善を行い,急性期以降は退院後まで多職種による多面的な生活介入による再入院の抑止が今後期待される。