特集 高齢者の体液管理
高齢者の体液調節系の特徴
Fluid Management Renaissance Vol.6 No.4, 15-19, 2016
高齢者における体液調節系の特徴を一言でいえば“体液量の減少”と“調節予備力の低下”として表現される。腎臓や中枢神経系を含む各種臓器は加齢とともに量的・質的な変化を呈するが,基礎疾患が存在しない場合は後期高齢者においても原発性に水・電解質代謝異常を呈する頻度はそれほど高くない。しかし高血圧,糖尿病,心不全,慢性閉塞性肺疾患(COPD),慢性腎臓病(CKD)などの慢性疾患や,生活習慣・環境に起因する各種栄養障害,高温環境,水分摂取不足・過剰などの負荷が加わった際には,青壮年健常者と比較して容易に恒常性維持機構の破綻をきたす。また,高齢者は多種類の薬剤や健康食品を摂取していることが多く,それらの作用に起因した障害を呈する例にも頻繁に遭遇する。代表的な病態として,脱水,低Na血症,低・高K血症などが挙げられる。
「KEY WORDS」脱水,慢性腎臓病,低Na血症,低K血症,高K血症
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