「Summary」肝硬変の循環動態は,門脈圧亢進と全身の循環亢進状態が特徴的である。全身循環は亢進しているが末梢血管は慢性的に拡張した状態であり,相対的に有効循環血液量は低下した状態にある。門脈圧亢進や有効循環血液量低下,肝合成能の低下による低アルブミン血症などが成因となり,肝硬変患者ではNa・水貯留がみられる。腎不全非合併例においては,栄養療法やNa制限,利尿薬による体液管理を行う。透析患者においては,透析による除水に加え,Naや栄養の喪失分の補充が必要となる。また,有効循環血液量は低下した状態にあるため,透析時の低血圧には十分に注意が必要である。肝硬変合併例に対する透析として,腹膜透析(CAPD)が有効であった報告がいくつかみられる。利点・欠点を理解したうえで,個々の症例に応じて適切な対応が望まれる。
「Keywords」肝不全,肝硬変,hyperdynamic circulation,門脈圧亢進症,CAPD
「Keywords」肝不全,肝硬変,hyperdynamic circulation,門脈圧亢進症,CAPD