胃酸は強酸で,肉をズタズタにして消化を助けるだけでなく,非食事時にも基礎分泌があるので口や腸からの菌を殺す役割があると考えられます。高蛋白食で胃酸分泌が起きますが,胃壁細胞に残ったHCO3は血液中から尿中に捨てられるのでアルカローシスにはなりません(腸の血管作動性腸管ペプチド(VIP)が促進)。しかし,嘔吐などで胃酸を外界に喪失すると代謝性アルカローシスになることがあります。一方,胃酸は胃食道逆流症(GERD)や消化性潰瘍の元凶で,またピロリ菌のように胃酸があっても駆除できない細菌もいます。したがって,プロトンポンプ阻害薬で常時胃酸分泌を抑えているGERD患者でも特に不都合はないようです(稀に細菌性腸炎)。
目からウロコ―水と電解質
第20回 胃酸分泌の代償:“つわり”の進化学的意義とは?
掲載誌
Fluid Management Renaissance
Vol.6 No.2 97-99,
2016
著者名
石橋 賢一
記事体裁
抄録
疾患領域
循環器
/
消化器
診療科目
循環器内科
/
産婦人科
媒体
Fluid Management Renaissance
※記事の内容は雑誌掲載時のものです。