「Summary」高齢化に伴う慢性心不全患者の増加は先進国共通の社会的課題であり,わが国においても同様である。増えつづける社会保障負担の問題に対応するため,医療の場を病院から地域包括ケア・在宅医療へとシフトさせることが求められているが,慢性心不全の在宅医療にはさまざまな問題があり,困難が予想される。慢性心不全の在宅医療の実現が難しい原因の1つとして在宅医療の現場における専門医の不在が挙げられるが,情報通信技術(ICT)を活用した遠隔モニタリングを介して循環器専門医と在宅医療従事者とが連携することによって,この問題は解決できる可能性がある。本稿では,慢性心不全の在宅疾病管理における身体指標を含む遠隔モニタリングの海外における現状と,わが国の状況およびわれわれのこれまで取り組みについて紹介し,今後の展望について解説する。
「Keywords」遠隔モニタリング,ICT,在宅医療,多職種協働