「Summary」肺うっ血は,左心不全による肺静脈圧上昇により起こる左室の後方障害である。体うっ血は,右心不全による大静脈圧上昇により起こる右室の後方障害である(図1)。左心不全による肺静脈圧の上昇は肺毛細血管圧の上昇を起こし,間質性肺水腫が生じる。さらに病態が進行すると,肺胞内に体液の漏出が起こり,肺胞性肺水腫が生じる。また,右心不全が単独で生じることは稀で,左心不全から起こることが多く,つまり両心不全の状態が多い。急性心原性肺水腫は,交感神経系の興奮による静脈系の収縮を介した静脈灌流量の増大による前負荷の増大,交感神経系の興奮による動脈系の収縮を介した後負荷の増大を主病態とするため,安易な利尿薬投与は病態の悪化をもたらす可能性がある。そのため,血管拡張薬により十分に前負荷,後負荷をコントロールした後に体うっ血が残る場合が利尿薬の出番となる。本稿では,うっ血の病態に応じた治療を概説する。
「Keywords」肺うっ血(pulmonary congestion),体うっ血(systemic congestion),利尿薬,血管拡張薬
「Keywords」肺うっ血(pulmonary congestion),体うっ血(systemic congestion),利尿薬,血管拡張薬