<< 一覧に戻る

特集 わが国発の心不全における利尿薬研究の最前線

心腎不全におけるバソプレシンV₂受容体拮抗薬の有効性と安全性

Efficacy and safety of add-on tolvaptan in heart failure patients with advanced chronic kidney disease

冨永直人

Fluid Management Renaissance Vol.5 No.4, 30-36, 2015

「Summary」急性非代償性心不全を発症した際,その治療経過中に腎機能の悪化(worsening renal function)が多く認められる。さらに,この腎機能の悪化そのものが長期的な有害なアウトカムに関する独立した強い因子であることが明らかとなってきた。これに関して,急性心腎症候群(心腎症候群type1)と呼ばれる病態に焦点が当てられてきた経緯のなかで,心拍出量の低下が腎障害の主な要因とされてきた。しかしながら近年,心不全に伴った静脈うっ血や右心系圧の上昇そのものも腎障害の一因とされ,この病態は“腎うっ血”と呼ばれている。また旧来,急性心不全に対する治療として利尿薬(Na利尿薬)が中心的な役割を担ってきたが,すでに腎機能の低下した慢性腎臓病を合併している患者も多く,高用量投与を余儀なくされることも少なくない。その結果,さらなる腎機能悪化をはじめとして,さまざまな有害事象を呈してしまうことも頻繁に見受けられる。このような状況のなか,わが国で開発された新規水利尿薬であるバソプレシンV2受容体拮抗薬が心不全患者に対して使用されるようになって5年弱が経過したが,高度に腎機能が低下している患者に対して既存のNa利尿薬にバソプレシンV2受容体拮抗薬を併用投与した場合の有効性および安全性に関しては不明な点が多い。
「Keywords」急性非代償性心不全,心腎症候群,慢性腎臓病,worsening renal function(WRF),正常血圧性虚血性急性腎障害,腎うっ血,利尿薬抵抗性,バソプレシンV2受容体拮抗薬

※記事の内容は雑誌掲載時のものです。

一覧に戻る