臨床セミナー 浮腫A to Z
第7回 リンパ浮腫の特徴と対策
掲載誌
Fluid Management Renaissance
Vol.5 No.3 76-80,
2015
著者名
廣田彰男
記事体裁
抄録
疾患領域
血液
/
癌
診療科目
腎臓内科
/
腫瘍内科
/
麻酔科
媒体
Fluid Management Renaissance
「はじめに」リンパ浮腫とは,主に腕や脚におけるリンパ系の障害のために患肢皮下に蛋白を多く含んだ水分が過剰に貯留した状態である。本症は,腕や脚の付け根のリンパ節を物理的に切除した場合以外にはほとんど発症しないと考えてよい。すなわち,臨床的にはほとんどが腕では乳癌,脚では婦人科癌を切除した場合である。最近,癌の末期や緩和ケアにおける浮腫をリンパ浮腫と診断する傾向があるが,これは誤りであり,リンパ浮腫ではなく低蛋白性浮腫や廃用性浮腫が主体である。抗癌剤の副作用でもみられる。これらは病態が異なるので対処法が異なり,リンパ浮腫として治療すると改善しないばかりか患者に身体的・精神的・経済的負担をかけてしまうので,厳に除外診断すべきである。また,心不全や肝硬変などでも浮腫をみるがこれもリンパ浮腫ではない。以下に,リンパ浮腫および臨床的に多くみられる,主に下肢浮腫について概説する。
※記事の内容は雑誌掲載時のものです。