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特集 水電解質代謝異常と遺伝疾患

腎性低尿酸血症

Renal hypouricemia

市田公美

Fluid Management Renaissance Vol.5 No.3, 28-33, 2015

「Summary」腎性低尿酸血症は,尿細管障害を認めないにもかかわらず腎臓における尿酸排泄が亢進して低尿酸血症を示す疾患である。尿酸排泄亢進は,近位尿細管において尿酸の再吸収方向に働くトランスポーターの欠損により起こる。管腔側膜に発現しているURAT1/SLC22A12と血管側膜に発現しているGLUT9/SLC2A9が,欠損により腎性低尿酸血症をきたすトランスポーターとして報告されている。日本では,無症状の低尿酸血症のほとんどはURAT1/SLC22A12欠損による腎性低尿酸血症である。低尿酸血症による症状は認めないが,腎性低尿酸血症の合併症として運動後急性腎不全と尿路結石がある。腎性低尿酸血症で認められる運動後急性腎不全は横紋筋融解症による急性腎不全と異なり無酸素運動により誘発されやすく,虚血再灌流障害が関与していると考えられている。尿路結石は,腎性低尿酸血症では尿中尿酸排泄量が増加していることにより頻度が高いと考えられている。
「Keywords」腎性低尿酸血症,運動後急性腎不全,URAT1/SLC22A12,GLUT9/SLC2A9

※記事の内容は雑誌掲載時のものです。

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