「Summary」心臓は循環を司るポンプであり,全身の臓器灌流,水分バランス調節に対して最も影響を及ぼす臓器であるが,心臓自体における水分調節に関しては不明な部分が多い。心臓の循環は他臓器と同様に動脈系,毛細血管系,静脈系,リンパ管系で構成されるが,拍動という臓器特性から他の臓器とは異なる特徴も多くもち,そのバランスの破綻により生じる心臓浮腫はたとえわずかであっても心機能に与える影響がきわめて大きいことが知られている。心臓浮腫を呈する疾患は心筋炎,心臓移植後などが代表的であるが実際にはさまざなま疾患で起こりうる病態であり,それを理解することはきわめて重要である。特に臨床における心臓浮腫の評価に関しては長い間定量化が困難であったが,近年の画像診断の発展に伴い徐々にその意義が示されつつある。
「はじめに」心臓は全身の循環を司るポンプであり,その機能障害は全身循環の破綻をきたし,肺うっ血,肝うっ血に代表される臓器浮腫を呈することはよく知られている。しかし心臓自体の組織循環,水分調節に関する機序,またその評価法,治療法に関しては十分な検討がなされていない。
「Keywords」心臓浮腫,冠微小循環系,毛細血管透過性,preload-recruitable stroke work,心臓移植