【特集 臓器浮腫・うっ血の病態とその治療法】
特集にあたって
掲載誌
Fluid Management Renaissance
Vol.5 No.2 6,
2015
著者名
飯野靖彦
記事体裁
抄録
疾患領域
循環器
/
代謝・内分泌
/
消化器
/
腎臓
診療科目
一般内科
/
循環器内科
/
消化器内科
/
腎臓内科
/
糖尿病・代謝・内分泌科
/
老年科
/
小児科
媒体
Fluid Management Renaissance
ギリシャ・コス島出身のヒポクラテスが書いたヒポクラテス全集にも“浮腫(むくみ)”の記載が認められるように,むくみは古代から疾患の典型的症候の1つであった。教科書的には浮腫は心・肝・腎疾患によって起こる症候であり,Harrisonの内科書によれば“edema=Na overload”,つまり浮腫は塩分過剰状態を示していると記載されている。Na過剰が起こる原因として,心・肝・腎疾患によって腎臓からのNa排泄が低下することが,生理学研究によりわかってきた。しかし,Na+Clが浸透圧物質として重要であり,それに伴って水が貯留するというNa+Cl中心の考え方は再考を要する時代になってきている。生体ではまず浸透圧調節系が働き,次に容量調節系が働くと考えられており,この論理からするとNaなどの浸透圧物質が浮腫の原因と考えるのはもっともであるが,浸透圧調節系が破綻をきたしている病態では,あるいは細胞内での水分貯留は異なるシステムで制御されている可能性も考えられる。したがって,主要因ではないとしても,水分貯留を浮腫の原因の1つとして考えなければならない時代に入ってきている。
※記事の内容は雑誌掲載時のものです。