「はじめに」肝硬変の重要な合併症として,腹水や浮腫が挙げられる。これまで,フロセミドやスピロノラクトンなどの既存の利尿薬によって治療が行われてきたが,トルバプタンが適応になったことで治療法が広がった。肝性浮腫の成因と病態生理を理解して適切に利尿薬を選択することによって,QOLや生命予後の改善が得られる可能性がある。
「肝硬変における腹水・浮腫の成因」肝硬変においては,非代償期では腹水貯留や浮腫がしばしばみられるが,この機序として血管作動性ホルモンの影響が指摘されてきた。肝硬変では肝機能低下によるアルブミン合成の減少がみられるほか,肝線維化により肝内類洞内圧が高くなる結果として門脈圧亢進がみられ,いずれもが腹水や浮腫の成因となっている。1980年代に,肝硬変における腹水や浮腫の機序について論文で大きな議論が展開された。すなわち,overflow theoryとunderfilling theoryである。
「肝硬変における腹水・浮腫の成因」肝硬変においては,非代償期では腹水貯留や浮腫がしばしばみられるが,この機序として血管作動性ホルモンの影響が指摘されてきた。肝硬変では肝機能低下によるアルブミン合成の減少がみられるほか,肝線維化により肝内類洞内圧が高くなる結果として門脈圧亢進がみられ,いずれもが腹水や浮腫の成因となっている。1980年代に,肝硬変における腹水や浮腫の機序について論文で大きな議論が展開された。すなわち,overflow theoryとunderfilling theoryである。