「Summary」バソプレシンV2受容体拮抗薬であるトルバプタンの心不全患者に対する内科的治療の有用性は,臨床使用経験から広く認知されるようになってきた。一方,心臓手術後の患者に対するトルバプタンの有用性はいまだ明らかではない。今回われわれは,2012年7月~2014年5月の間に心臓弁膜症手術後患者24例に対してトルバプタンを使用した。このうち,術前からの腎機能低下または術後腎機能悪化を認めた14例を腎障害群とし,術前/術後ともに腎機能障害を認めなかった10例を対照群とし,両群を比較検討した。心臓弁膜症手術後患者においてトルバプタンは腎障害群,対照群ともに腎機能を悪化させることなく,そして危険な電解質異常をきたすことなく安全に使用できることが示唆された。今後さらなる検討が望まれる。
【特集 心臓手術と体液管理】
心臓弁膜症手術の術後体液管理―トルバプタンの使用経験から―
Postoperative fluid management in patients after cardiac valve surgery; clinical experience of tolvaptan
掲載誌
Fluid Management Renaissance
Vol.4 No.4 33-39,
2014
著者名
池上博久
/
鈴木友彰
/
浅井徹
記事体裁
抄録
疾患領域
循環器
診療科目
循環器内科
/
心臓血管外科
媒体
Fluid Management Renaissance
※記事の内容は雑誌掲載時のものです。