特集 利尿薬抵抗性(diuretic resistance)
病態と対処法:サイアザイド系利尿薬の併用
Fluid Management Renaissance Vol.3 No.3, 20-24, 2013
「Summary」 ループ利尿薬は心不全患者の体液管理に広く用いられているが, 長期間使用していると遠位尿細管の機能亢進が生じ, Na再吸収が亢進して利尿作用が減弱する. このようなループ利尿薬の抵抗性が生じた症例に対してサイアザイド系利尿薬を併用すると, 遠位尿細管のNa+/Cl-共輸送体でのNa再吸収の亢進を阻害することで利尿作用が改善されることが知られている. ループ利尿薬とサイアザイド系利尿薬の併用療法は強力な利尿作用を有する反面, 電解質異常(低Na, K, Mg血症), 低血圧, 腎機能障害, 神経体液性因子の亢進などの副作用が問題となる場合があるので, リスクとベネフィットを十分理解したうえで使用する必要がある. これまでの報告は小規模な観察研究がほとんどであり, 大規模な研究による有効性安全性を検討した報告は現在のところ存在しない. また, 長期予後への影響も明らかではないので漫然と投与しないよう心掛ける必要がある.
※記事の内容は雑誌掲載時のものです。