【特集 治療抵抗性心不全における体液コントロール】
心不全における利尿薬耐性の病態と対策
掲載誌
Fluid Management Renaissance
Vol.3 No.2 33-39,
2013
著者名
絹川真太郎
/
筒井 裕之
記事体裁
抄録
疾患領域
その他
診療科目
その他
媒体
Fluid Management Renaissance
「Summary」 心不全治療において, 利尿薬を用いたうっ血治療が最も重要である. しかしながら, 慢性的なループ利尿薬治療は利尿薬抵抗性を導く. 利尿薬抵抗性は, 薬剤の作用部位への運搬障害や複数の尿細管セグメントのNa吸収亢進によって起こりえる. さらに, 心腎連関や低Na血症などの病態も影響を与える. このような利尿薬抵抗性の機序を理解し, それぞれの心不全の病態を考え適切に対処する必要がある. 利尿薬治療を行う際には, 目の前のうっ血治療だけでなく長期的な予後に与える影響も考慮して治療法を選択する必要がある. 特に, 神経体液性因子の抑制治療とsequential nephron blockadeの概念による必要十分な利尿薬治療が重要である. 「はじめに」 心不全患者のうっ血治療において利尿薬は有効な治療であり, 日本循環器学会のガイドラインでもclass Iの推奨を得ている. しかしながら, 利尿薬治療は必ずしも心不全の予後改善には寄与せず, むしろ悪化させることが知られている(図1)1).
※記事の内容は雑誌掲載時のものです。