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目からウロコ―水と電解質

第6回 「ホウ酸ダンゴ」ってご存知?

石橋賢一

Fluid Management Renaissance Vol.2 No.4, 82-83, 2012

ゴキブリ撃退にものすごい威力のあるダンゴのことです. ゴキブリの好物である砂糖, 米糠, ジャガイモ, 玉ねぎ, 小麦粉などに, ホウ酸を混ぜて玉にしたものです. 昆虫や微生物に過剰なホウ酸は致命的で, 殺菌や消毒にホウ酸塩がよく使われてきました. たとえば, 目の洗浄や化粧品の防腐剤などです. 使用量の少ない結膜の洗浄や非吸収性の皮膚の消毒では人体に悪影響はないとされてきました. しかし, ホウ酸は神経毒で, 外用薬でも長期使用では皮膚吸収が無視できないため使用禁止となりました. 眼科では2%以下のホウ酸水での「結膜嚢の洗浄・消毒」は有効性が認められているものの, ほかには臨床的有用性はないと判断され, 薬価基準からホウ酸は削除されています. 1860年代, 英国の外科医ジョセフ・リスターが, 消毒薬(石炭酸つまりフェノール)をはじめて使用して, 近代外科への道を拓きました. しかし, フェノールは激しい副作用があるため, 無色無臭・弱毒のホウ酸が皮膚・粘膜の消毒に用いられてきました.

※記事の内容は雑誌掲載時のものです。

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