【特集 浮腫の鑑別・対処法・メカニズム】
アレルギー・炎症に伴う浮腫
掲載誌
Fluid Management Renaissance
Vol.2 No.3 53-60,
2012
著者名
寺井千尋
記事体裁
抄録
疾患領域
その他
診療科目
その他
媒体
Fluid Management Renaissance
「Summary」アレルギー・炎症に伴う浮腫は血管透過性の亢進による浮腫であり, 局所性浮腫を呈する. 生体が有害な刺激を受けたときに免疫応答が働き, 体内に侵入した微生物や異物を攻撃して体内から排除し, その後組織損傷を修復する. この過程全体を炎症という. 炎症時には, 炎症性細胞から分泌されるヒスタミン, セロトニン, プロスタグランジン, ロイコトリエンなどの因子や血漿中で活性化されたメディエータ(補体, キニン, 凝固因子)が出現し, 一連の反応を進める. 炎症部では熱感, 発赤, 疼痛, 腫脹の4徴候がみられるが, この滲出性炎症の徴候はメディエータによって惹起された血管拡張と間質への水分・血漿成分・白血球の滲出による. 局所性浮腫を惹起するメカニズムには, 血管透過性亢進以外に静脈閉塞による毛細血管圧亢進やリンパ管圧迫・閉塞によるリンパ性浮腫がある. 実際の炎症性病態でみられる浮腫では, 単に炎症のみでなくほかの局所性あるいは全身性浮腫の要因が混在することが多い.
※記事の内容は雑誌掲載時のものです。