【特集 浮腫の鑑別・対処法・メカニズム】
心疾患に伴う浮腫の診断と治療
掲載誌
Fluid Management Renaissance
Vol.2 No.3 25-31,
2012
著者名
藤原昌平
/
合田亜希子
/
廣谷信一
/
増山理
記事体裁
抄録
疾患領域
その他
診療科目
その他
媒体
Fluid Management Renaissance
心疾患が原因で浮腫をきたした場合を, 一般に心性浮腫という. 通常, 心性浮腫は下腿に好発する下腿浮腫を指すが, 機序的にはうっ血・肺水腫を含み, 心不全症状の1つと考えられる. 心性浮腫の治療の基本は水・Na制限であり, 治療薬としては速やかに下腿浮腫や肺うっ血を改善させるループ利尿薬が全世界で第一選択薬として使用されている. しかし, 心不全治療の目的は容量負荷の軽減ではなく生命予後の改善である. これまで心不全治療薬のなかで予後を改善するエビデンスが確立されている薬剤はACE阻害薬・ARB, β遮断薬, 抗アルドステロン薬のみである. 心不全治療においてループ利尿薬の果たす役割は大きいが, 予後を改善するデータはなく, 少なくとも腎機能を悪化させる傾向があるとされている. 心不全に関する成因や治療法はいまだ解明すべき点が多くあるが, 本稿では特に心不全による浮腫の発生機序と治療薬について概説する.
※記事の内容は雑誌掲載時のものです。