臨床セミナー これからの心不全バイオマーカー
第4回 炎症性サイトカイン(TNFα,IL-6など)
掲載誌
Fluid Management Renaissance
Vol.2 No.2 68-74,
2012
著者名
小板橋紀通
/
倉林 正彦
記事体裁
抄録
疾患領域
その他
診療科目
その他
媒体
Fluid Management Renaissance
「心不全と炎症」 一口に心不全といっても, 原因は虚血性心疾患, 高血圧, 弁膜症, ウイルス性心筋炎, 遺伝子異常を伴う拡張型心筋症などさまざまである. それぞれに特異的な治療法もあるが, それぞれの病態の終末像としての収縮不全, ポンプ不全の病態形成過程には多くの共通したメカニズムが隠れている1). レニン-アンジオテンシン-アルドステロン系およびカテコラミンの活性化がその代表的なメカニズムであり, 原疾患によらず多かれ少なかれ心不全の病態形成, 病的心臓リモデリングに関与していると考えられているが, 近年「炎症」も重要な心臓リモデリングの修飾因子と考えられてきている2). 体外から侵入した病原微生物(ウイルスなど)ないしは傷害や壊死を起こした心筋細胞などの生体内で発生した老廃組織を免疫担当細胞が認識し, 局所に炎症が惹起される. この炎症の病態を局所で修飾制御しているサイトカインを炎症性サイトカインと呼び, インターロイキン(interleukin ; IL)-1, 腫瘍壊死因子(tumor necrosis factor ; TNF)α, IL-6などが知られている3).
※記事の内容は雑誌掲載時のものです。